収益物件を購入する不動産経営者が知るべき「法令上の制限」──“買ってから後悔しない”ための基本知識

ブログ 不動産投資初心者向け講座

こんにちは! 今回は「法令上の制限」についてお話ししていきます。

不動産経営において、収益物件を「どう運用するか」と同じくらい重要なのが、「どんな物件を選ぶか」です。

表面利回りや立地、入居状況といった指標はよくチェックされますが、それだけでは不十分です。物件購入時に必ず確認すべき要素の一つが「法令上の制限」です。

この制限は、土地や建物の利用方法や改修・再建築の可否に大きく影響します。つまり、物件の資産価値や将来の選択肢を左右する重要な要素なのです。

今までに取り上げてきたことも出てきますが、おさらいだと思って読んで頂けると嬉しいです!

⚪︎「法令上の制限」が収益不動産に与える影響とは?

法令上の制限は、「建てる時」だけの話ではありません。すでに建っている物件でも、以下のようなリスクや制約が隠れている場合があります。

・建て替え時に現状と同じ規模・用途で再建できない

・修繕や用途変更に許可が必要で、自由に使えない

・接道条件が不足していて将来的な再建築が不可

・防火地域の制限で、建築コストや改修に追加費用が発生

こうした問題は、購入後に初めて知っても手遅れです。不動産経営者として物件を資産として持ち続けるためにも、取得前の確認が不可欠です。

⚪︎購入前に確認したい主要な法令上の制限

1. 用途地域(都市計画法)

用途地域は、その土地に「どんな建物を建てて良いか」を決める都市計画上の制限です。現状は収益を生んでいても、将来的な建て替えや用途変更が困難な場合があります。

例えば…

第一種低層住居専用地域:共同住宅の建築に厳しい制限があり、再建時に戸数を減らさざるを得ないことも。

商業地域:ホテル・店舗・マンション等、幅広い活用が可能で資産価値の維持に有利。

など。

用途地域を知らずに買うと、今は収益がきちんとあるが、将来扱いにくくなる物件をつかんでしまうリスクがあります。

2. 建ぺい率・容積率

建ぺい率:敷地に対する建物の面積の割合

容積率:敷地に対する延床面積の割合

購入物件が、これらの制限を超えて建っているケース(=既存不適格建築物)も珍しくありません。

この場合、地震や火災で半壊・全壊したときに、同規模で再建できないという事態も起こり得ます。

不動産経営者にとって、こうした制限は保有中のリスクと出口戦略の制約になるため、十分な注意が必要です。

3. 接道義務(建築基準法)

原則として、建物は幅4m以上の道路に2m以上接していないと建てられません。これは「接道義務」と呼ばれる制限です。

問題なのは、以下のようなケースです。

・今建っている建物は合法だが、将来は再建築できない再建築不可物件

・公道ではなく位置指定道路や私道負担ありで、権利関係が複雑

こうした物件は安く買える反面、金融機関の評価が低く、融資が通りにくい場合もあります。資産性を重視する経営者にとっては、将来的な再販・担保力の低下につながるリスクです。

4. 防火・準防火地域

特に都市部や駅近に多い制限です。耐火・準耐火構造が求められるため、リフォームや建て替え時に高額なコストが発生する可能性があります。

たとえば、

・屋根や外壁の材質に指定がある

・木造の建て替えが原則不可

・特定用途では延床面積の上限が厳しくなる

この制限は、「物件の維持コスト」に直結するため、長期保有戦略を考えるなら要チェックです。

5. その他:既存不適格、文化財、農地法など

既存不適格建築物:法改正で現行基準に合っていない建物。使い続けるのはOKでも、大規模改修や再建時に制限あり。

文化財保護法・自然公園法など:一見わかりにくいが、開発や改修に制限があるケースも。

農地法:収益用物件であっても、過去に農地だった土地では用途変更手続きが残っている場合あり。

⚪︎法令上の制限の調べ方・確認方法

・重要事項説明書(35条書面)
宅建士による説明で、用途地域・容積率・接道状況などが記載されます。ただし表面的な情報にとどまることもあるため、疑問点は質問を。

・役所での確認(都市計画課・建築指導課)
役所で用途地域・道路種別・建築制限の詳細が確認可能。投資額が大きい物件ほど、直接確認する価値があります。

・信頼できる不動産会社や建築士の協力
既存不適格や再建築不可など、専門家でなければ見抜けないリスクもあります。購入前にはプロの目を入れるべきです。

不動産経営者にとって、「購入する収益物件」が将来的にも資産として機能し続けるかどうかは、法令上の制限に大きく左右されます。

現状が良くても、

・将来の再建築ができない

・売却時に買い手が融資を受けにくい

・リフォームに法的制限がかかる

といった見えにくいリスクが、経営の足かせとなることがあります。

だからこそ、収益不動産の購入時は、利回り・価格・立地だけでなく、「法令上の制限」の確認もセットで行っておきましょう。こうした買う前のひと手間が、長期的に安定した経営につながります。

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