こんにちは! 今回は「公簿売買」について解説していきます。
不動産の売買は、人生でも特に大きな買い物のひとつ。その契約内容には、慎重な確認が必要です。特に土地の面積をどう扱うかという点で、「公簿売買」と「実測売買」という用語が出てくることがあります。
今回はその「公簿売買」に焦点をあて、その意味やメリット・デメリット、トラブルを避けるためのポイントなどについてお伝えしていきますね。
⚪︎公簿売買とは?簡単に言うとこんな契約です
「公簿売買」とは、登記簿に記載された面積(公簿面積)を基準に売買契約を結ぶ方法です。実際の測量(=実測)を行わず、登記情報をそのまま使って取引します。仮に実際の土地の広さが異なっていたとしても、基本的にはその差を精算しない、というのが大きな特徴です。
一方、「実測売買」は、測量士などによって実際に土地の面積を測り、その数値を基に価格を決める方法です。測量結果と登記面積に差があった場合は、差額の調整(精算)も行います。
⚪︎なぜ登記簿の面積と実際の面積は違うの?
「登記簿に書いてあるなら正確なんじゃないの?」と思うかもしれませんが、実はそうとも限りません。
日本の土地登記制度は、明治時代から続く古い制度がベースで、当時の測量技術ではどうしても誤差が生じやすかったのです。以下のような事情で、登記面積と実際の面積が異なることがあります。
・測量技術の問題
古い時代の測量では正確さに限界がありました。
・土地の分筆、合筆
土地が分けられたりまとめられたりした際に、測量がきちんと行われていないことがあります。
・私道などの取り扱い
私道の共有部分が登記面積に含まれているかどうかの違いなど、実態と登記内容が一致しないケースがあります。
⚪︎公簿売買のメリットとデメリット
*メリット
・測量不要でスピーディー
測量の手間や費用がかからないため、取引が早く進みます。
・初期費用が安い
測量には数十万円かかることもありますが、公簿売買ならそれが不要。売主・買主ともにコストを抑えられます。
・価格交渉がシンプル
面積が固定されているため、面積による価格調整や交渉が発生しにくい点もメリットです。
*デメリット
・面積の誤差による損失リスク
公簿面積が100㎡でも、実際に使える土地が90㎡だったというケースは珍しくありません。この場合、差額の返金を求めることは基本的にできません。
・境界トラブルのリスク
現地で思ったより狭かった、隣地と境界が曖昧だったなど、買ってから問題に気づくこともあります。
・将来的な売却時に不利になることも
将来土地を売却する際、実測して初めて面積が小さいとわかれば、売却価格に影響が出る可能性があります。
⚪︎公簿売買でトラブルを防ぐ5つのポイント
公簿売買を選ぶ際は、以下の点をしっかり確認しましょう。
①現地を必ず確認する
土地の形や広さ、隣地との境界などを自分の目でチェックしましょう。境界標がない場合は注意が必要です。
②過去の測量図を見せてもらう
古いものでも構いません。参考になる場合があります。
③重要事項説明書をよく読む
「面積の差があっても精算しない」など、公簿売買に関する記載を必ず確認し、納得いくまで説明を受けましょう。
④不動産会社や専門家に相談する
信頼できる不動産会社を選び、必要に応じて土地家屋調査士に相談するのも有効です。
⑤売買契約書の特約を確認する
実測と登記面積の差が大きい場合に限り、精算や契約解除を認める特約を付けることも可能です。
⚪︎どんなときに公簿売買が選ばれる?
次のようなケースでは、公簿売買が選ばれることがよくあります。
・境界がはっきりしていて、トラブルの可能性が低い
・小規模な土地や価格が安めの土地
・多少の面積誤差を買主が許容できる場合
・取引を急いで進めたい事情がある場合
「公簿売買」は、測量不要でスムーズに取引できるという利点がある一方で、実測との差異による損失リスクを買主が負う形になります。そのため、土地の現状をしっかり確認し、疑問点は必ず専門家や不動産会社に相談するなど、慎重な対応が不可欠です。「登記面積での売買=正確な面積」とは限らないという前提を忘れずに、納得のいく取引を目指しましょう。
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