こんにちは! 今回はアパート経営におけるペアローンについてお話ししていきます。
アパート経営を始めるうえで、多くの人がつまずくのが「資金調達」です。自己資金だけでは限界があり、通常は金融機関からのローンを利用します。その代表的な選択肢の一つとして「ペアローン」があります。住宅ローンでよく利用される仕組みですが、投資用不動産(アパートローン)でも条件次第で活用できるため、夫婦でアパート経営を考えている人にとって有力な手法です。
◯ペアローンとは?仕組みを簡潔に説明
ペアローンとは、一つの物件に対して夫婦やパートナーがそれぞれ個別のローン契約を組む方式です。収入合算や単独借入との違いは以下の点にあります。
| 項目 | 単独ローン | 収入合算 | ペアローン |
| 契約者 | 1人 | 1人(配偶者は連帯保証人) | 2人 |
| 団信対象 | 契約者本人 | 契約者本人 | 夫・妻それぞれ |
| 所有名義 | 単独 | 単独が基本 | 共有(持分割合) |
| 融資額 | 小さめ | 中程度 | 大きくなりやすい |
ペアローンでは両者が主債務者となり、それぞれが自分の契約に団体信用生命保険(団信)を付けることができます。借入額に応じて共有名義となるため、税務面にも影響します。
◯ペアローンを利用するメリット
① 借入可能額が増え、物件の選択肢が広がる
2人分の収入が審査対象となるため、単独では届かない物件にも投資できる可能性が高まります。
② 団信によるリスクヘッジが強化される
どちらかが亡くなった場合、団信によりその人の借入分は完済されます。残った配偶者はもう一方の借入分のみを返済しながら経営を継続できます。
③ 所得分散による節税効果
不動産所得は共有名義の持分割合に応じてそれぞれの所得として計上されます。所得が分散されることで税率上昇の抑制につながり、青色申告や必要経費の活用も2名分使えるケースがあります。
◯利用時に気をつけたいデメリット・注意点
① 手続きと初期費用が2人分必要
ローン契約、重要事項説明、印紙代など、全てが2人分になるため事務負担も金銭負担も増加します。
② 返済リスクは共有
多くのケースで互いが連帯保証人となります。失業・病気などで片方が返済不能になれば、もう片方に返済義務が引き継がれます(団信は死亡・高度障害の限定カバー)。
③ 離婚時に複雑化しやすい
持分割合の見直しや名義変更が難航し、贈与税の問題も発生し得ます。出口(売却・名義整理)を想定せずに組むのはリスクが高いと言えます。
④ 投資用ローンでは対応できない金融機関もある
住宅ローンと異なり、アパートローンでは「個人の生活」ではなく「事業性」が重視されます。そのため、ペアローンを認めない金融機関も存在します。
◯どんな人に向いているのか
ペアローンが有効に働きやすいのは、次のような場合です。
共働きで、双方が今後も安定した収入を得られる見込みがある
収益性の高い中規模以上の物件を狙う計画がある
長期的な経営(20~30年)を前提にしている
夫婦で財務面も含め共同経営の意思が明確にある
逆に、「将来のライフプランが不透明」「離婚や転職など可動性が高い」場合は慎重な検討が必要です。
◯活用の進め方(実務的ステップ)
家族で経営方針の確認(返済計画・退職時期・出口等)
金融機関の比較(地方銀行・信金・信用組合が比較的対応しやすい傾向)
節税効果と持分割合の検討(税理士への確認が推奨)
長期返済のシミュレーション(金利変動・空室期間も含め計算)
ペアローンは、アパート経営において「借入額の拡大」「団信による保障」「節税効果」という大きなメリットを持ちます。一方で、返済義務も共有され、契約や出口が複雑化する点には注意が必要です。「夫婦で事業を運営する」という視点を持ち、金融機関・専門家の助言を受けながら慎重に検討すれば、資金調達の一つの有効な選択肢となるでしょう。
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