こんにちは! 今回は前回の記事の続きになります。
前回は、不動産投資において「損益通算」を活用することで節税ができる仕組みを紹介しましたね。
その中でも重要なポイントが「減価償却」でした。そして、この減価償却に深く関わるのが今回のテーマである「法定耐用年数」です。
不動産投資では、この耐用年数を理解しているかどうかで、節税効果の大きさだけでなく、金融機関からの融資条件にも大きな差が出ます。投資戦略の根幹を支える数字ですので、しっかり押さえておきましょう。
◯ 法定耐用年数とは?──税法上の“寿命”を定める基準
法定耐用年数とは、建物などの資産が「どれくらいの期間にわたって価値を持つか」を国税庁が定めた年数のこと。
簡単にいえば、税務上の建物の“寿命”を示すものです。
現実には、メンテナンス次第で耐用年数を超えて使える建物も多いですが、不動産投資ではこの法定耐用年数に基づいて減価償却費を計算します。
建物の構造ごとに法定耐用年数は異なります。
| 建物構造 | 法定耐用年数(居住用) |
| RC(鉄筋コンクリート)・SRC | 47年 |
| 鉄骨造(厚み4mm超) | 34年 |
| 鉄骨造(3mm超~4mm以下) | 27年 |
| 鉄骨造(3mm以下) | 19年 |
| 木造・合成樹脂造 | 22年 |
不動産投資の世界では、
RC造=長期運用向き、木造=短期の節税向き
と語られるのは、この耐用年数の違いが理由です。
◯ 減価償却との関係 ― 不動産投資における節税の鍵
減価償却とは、建物の購入費用を法定耐用年数に応じて毎年分割し、経費として計上する仕組みのこと。
不動産投資では、この減価償却費が大きな節税効果を生みます。
現金支出がないにもかかわらず経費として扱えるため、不動産所得を圧縮し、結果的に所得税・住民税を抑えることができます。
※土地は減価しないため、減価償却の対象外です。
▶ 例:
・RC造の新築マンション
→ 法定耐用年数47年で、毎年一定の償却を続けていく。
・木造の築古アパート
→ 耐用年数が短いため、短期間で一気に減価償却でき、短期的に節税効果を狙える。
不動産投資としてどの構造を選ぶかによって、税効果の出方が大きく変わるのです。
◯ 中古物件では「残存耐用年数」を計算する
中古不動産投資では、建物の経過年数を踏まえた「残存耐用年数」を用いて減価償却を行います。
一般的には「簡便法」という計算方法を使います。
① 経過年数が法定耐用年数未満の場合
(法定耐用年数 − 経過年数)+(経過年数 × 0.2)
② 経過年数が法定耐用年数以上の場合
法定耐用年数 × 0.2
※2年未満の場合は2年
▶ 例:
木造アパート(法定耐用年数22年)を築25年で購入
22 × 0.2 = 4.4 → 切り捨てて4年
→ 4年間という短期間で建物価格を大きく償却できる=築古物件が節税向きと言われる理由
中古不動産投資では、この残存耐用年数が投資戦略の要になります。
◯ 耐用年数は融資条件にも影響する
実は、法定耐用年数は融資の可否や融資期間にも影響します。
銀行は、建物の残存耐用年数を基準に「資産価値がどれだけ保たれるか」を判断するためです。
・残存耐用年数が長い物件(RC造・築浅)
→ 融資期間が長めに取れる、返済計画も安定しやすい
・残存耐用年数が短い物件(木造・築古)
→ 融資期間が短くなり、毎月の返済額が高くなりやすい
つまり不動産投資では、
「節税しやすい=良い投資」ではなく、融資とのバランスを踏まえた総合判断が必要
となります。
◯ まとめ:不動産投資の“数字戦略”の中心にあるのが耐用年数
法定耐用年数は単なる建物の年数表ではなく、
減価償却 × 節税 × 融資戦略
の3つを同時に左右する、不動産投資において非常に重要な数字です。
・節税を重視したいなら築古木造
・長期安定運用をしたいならRC造
どちらが良いかは、投資目的や資金計画によって変わります。
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