こんにちは!
前回までの記事では制度や仕組みについて触れてきましたので、今回は相続をするにあたっての準備、特に親名義の不動産を引き継ぐ方法について3つお伝えしていきますね。それぞれの長所と短所もあわせてご紹介します。
① 相続で引き継ぐ
親が亡くなった後、その不動産を法定相続人が相続する方法です。最も一般的なパターンで、相続税の特例も使えるのがメリットです。
たとえば、親が住んでいた土地や建物を相続する場合、「小規模宅地等の特例」によって、土地の評価額を最大80%(貸付事業用の土地は最大50%)減額できる可能性があります。
ただし、相続が発生したら自動で名義が変わるわけではなく、自分で登記手続きをする必要があります。また、相続人が複数いる場合には遺産分割協議も必要となり、話し合いがうまくいかないとトラブルになることもあります。
生前に遺言書を作ってもらうなど、事前の準備がとても大切になってきます。
② 生前贈与で引き継ぐ
親がまだ元気なうちに「不動産を子に贈与する(名義を変える)」方法です。相続前にしっかりと話し合いができる点や、将来のトラブルを防げる点がメリットです。
ただし、生前贈与には贈与税がかかります。贈与税の基礎控除は年間110万円までで、それを超えると税率が高くなりやすいため、まとまった金額の不動産を贈与する場合は注意が必要です。
一方で、「相続時精算課税制度」を使えば、2500万円まで非課税で贈与できる仕組みもあります。ただし、一度この制度を選ぶと通常の贈与控除は使えなくなるため、慎重な判断が求められるでしょう。
また、「小規模宅地の特例」が使えなくなるほか、贈与する際には不動産の評価、登記変更、登録免許税、不動産取得税などの費用も発生するため、手続き全体を把握したうえで動くことが大切です。
③ 売買で引き継ぐ(親から子へ売る)
これはやや特殊な方法ですが、親から子に不動産を売却することで名義を移すというケースもあります。実際には贈与に近い感覚で使われることが多いです。
たとえば、「ローンを組んで買い取ることで、将来の相続トラブルを防ぎたい」「親にまとまったお金が必要」といった理由で行うことがあります。
ただし、相場よりも安い価格で売ると、贈与とみなされて贈与税が課される可能性もあるため、適正な価格設定が大前提です。税務署から否認されるリスクもあるため、専門家のサポートが必須です。
*共通の注意点*
・親が認知症になったら、名義変更はできなくなる
⇒契約行為ができなくなるため、成年後見制度を利用する必要があり、手続きが複雑に。
・親名義のままにしておいても大丈夫?
⇒相続発生後に登記が長年放置されると、相続人が増えて収拾がつかなくなることもあります。
・“名義貸し”のような形は危険
⇒実態と登記が一致していないと、後のトラブルや税務リスクになってしまう恐れがあります。
今回は親名義の不動産をどう引き継ぐかについてお伝えさせて頂きました。
親名義の不動産をどう引き継ぐかはそれぞれのケースによりますが、いずれにしても、それぞれに税金・手続き・家族関係の影響があるため、正しい知識と冷静な判断がとても大切になってきます。
なにより重要なのは、親が元気なうちに家族で話し合っておくこと。放っておくと、いざというときに慌てたり、家族内でトラブルになってしまう可能性もあります。将来の安心のためにも今のうちから準備しておくことが、何よりの相続対策となるのではないでしょうか。
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