こんにちは! 今回は「専有面積」についてです。
収益物件を探すうえで、「専有面積」について確認することはとても大切ですが、単に「広さ」だけで判断するのも中々簡単にはできないものです。どこまでが専有部分なのか、表示面積の算出方法、そして利回りや賃貸需要への影響など、投資家として押さえておくべきポイントが多くあります。
収益物件を選定・購入・運用する上で知っておくべき「専有面積」について、投資視点で整理して解説していきます。
⚪︎専有面積とは?──投資における意味と役割
専有面積とは、マンションやアパートの中で、入居者が単独で使用できる居住空間の広さを指します。リビングや寝室、キッチン、浴室、トイレ、収納などが含まれます。
投資物件においては、この専有面積が「賃料設定」「市場価値」「出口戦略(売却)時の価格査定」などに直結する重要な指標になりますので、チェックは欠かさないようにしたいところです。
⚪︎投資家が注意すべき「含まれない面積」
また、専有面積には含まれない「共用部分」には注意が必要です。
「共用部分」にあたるものについては
・バルコニー
避難経路という法的性質のため共用部分。ただし専用使用権が設定され、実質的には居住者が使うのが一般的です。
・ルーフバルコニー、専用庭
これも共用部分扱いとなりますが、利用にあたり使用料が発生する場合もあります。
・廊下、階段、エントランス、ゴミ置き場、管理室
全て明確な共用部分です。
…あたりがわかりやすいかと思います。
投資判断時には、「面積に含まれない空間をどこまで入居者がメリットとして感じるか」を見極める必要があります。例えば広いバルコニーがあると、賃料に多少の上乗せが可能なこともあります。
⚪︎表示面積の罠 「壁芯」と「内法」の違い
不動産広告でよく見かける「○○㎡」という表記には、2つの異なる算出方法があります。
① 壁芯(へきしん)面積
壁の中心から測った面積で、広告・パンフレットに記載されているのはこちらが一般的です。
・表示面積は実際より広く見える
・建築基準法や容積率計算にも用いられる
・投資用物件の売却時にもこの面積で評価されやすい
② 内法(うちのり)面積
・壁の内側から測る面積で、登記簿にはこちらが記載されます。
・実際の使用可能面積に近い
・賃料を算出する際はこちらを基にするほうが実情に合う
※差が出る理由…壁の厚み(例:20cm)×戸境壁や外壁の数だけ面積に誤差が生じる。一般的に2~5㎡程度の差がある。
以上のことから、単に「広告の壁芯面積」だけを見て利回り計算をするのは得策でないと言えるでしょう。
実際に賃貸できる面積=内法面積でシミュレーションのうえでの検討をおすすめします。
⚪︎専有面積が与える3つの投資影響
1. 賃料単価(平米単価)に直結
賃料は専有面積を基に平米単価で設定されるケースが多いため、専有面積が広ければ単純に賃料は上がる傾向にあります。
ただし、広すぎる物件は逆に借り手がつきにくいことも。ターゲット層(単身者、DINKs、ファミリー)に合った広さを選ぶことが重要です。
2. 表面利回りの根拠
物件購入価格に対して、家賃収入がどれだけ得られるかを見るのが「表面利回り」。この計算には「見かけの広さ」よりも実際に賃料を取れる有効面積(内法)を基準にした方が正確です。
表示面積ベース:利回りが高く見えるが、現実との差異あり
内法ベース:よりリアルな収益評価が可能
3. 出口戦略での価格評価
将来的に物件を売却する際、広さは再販価格に大きな影響を与えます。一般市場では「壁芯面積」での取引が主流ですが、投資家同士の取引では内法とのギャップに敏感な買い手も多いため、事前に登記簿面積を把握しておくことが肝心です。
*専有面積を読み解くためのチェックリスト*
・広さの表示は「壁芯」か「内法」かを確認する
・賃料設定や利回り試算には「内法」を基準にする
・間取り図と合わせて「実際の使いやすさ」を評価する
・共用部分の仕様が入居者の満足度にどう影響するか考える
・将来の売却時に、専有面積が再評価される可能性を見込む
専有面積は、収益物件を購入・運用・売却する上で欠かせない指標です。ただ「広ければいい」というわけではなく、どの面積表示なのか(壁芯 or 内法)、どれだけ実質的に使えるのか、どんな賃料が見込めるのかなど、多角的な視点で判断することが求められます。できれば立地条件など、広さにとらわれず「建物自身がどこにあってどんな層からの収益が見込めそうなのか?」まで加味しておくのが望ましいでしょう。
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