こんにちは! 今回は「ノンリコースローン」という用語について解説していきます。
不動産投資を学び始めると、「ノンリコースローン」という言葉を耳にすることがあります。リスク管理の観点から注目される融資形態で、大規模投資家の資金調達では一般的に使われています。しかし実際のところ、日本国内では個人投資家が利用できるケースは極めて限られています。
ではどういう時に利用できるのか? メリットやデメリットは? といったところをお話ししていきますね。
◯ノンリコースローンとは?──最も大きな特徴は「責任範囲の限定」
ノンリコースローンは、返済の責任が「担保物件の価値と収益」に限定される融資です。万が一、家賃収入が落ち込んだり売却価格が下がったとしても、返済できない分について追加で個人資産まで差し押さえられることはありません。
一方、一般的な住宅ローンやアパートローンは「リコースローン」と呼ばれ、物件で返済しきれなかった場合は個人の預金や他の資産まで返済原資として見られるため、債務責任が広範囲に及びます。
◯メリット:守りの強さが最大の魅力
ノンリコースローンが評価される最大の理由は、「万が一の損失を物件内に閉じ込められる」という点です。事業としての失敗が他の資産に飛び火しないため、大規模な投資や複数物件の保有を目指す人にとっては非常に使いやすい仕組みです。
また、審査の主役は物件そのものの収益性です。優良物件であれば、個人の資産を多く差し出さずとも融資を受けられる可能性があります。この点が、法人やファンドが積極的にノンリコースローンを利用する大きな理由です。
◯デメリット:金融機関のリスクが大きい=条件が厳しくなる
一方、金融機関から見ると、ノンリコースローンは「もし回収できなければそれ以上取れない」ハイリスクな融資です。そのため、以下のような制約が発生します。
・金利が通常より高くなる
・返済期間が短くなりやすい(3〜5年程度が目安)
・審査が非常に厳しい(安定稼働・立地・築年・運営体制など)
これらは、初心者が想像する以上にハードルとなり、実務上は「選ばれた物件だけが通るローン」という性格を帯びています。
◯なぜ日本では個人投資家がほぼ使えないのか?
ここが最も重要なポイントです。
仕組みとしては魅力的なのに、なぜ個人向けには開放されていないのでしょうか?
その理由は次のとおりです。
| 理由 | 内容 |
| ①金融機関の回収リスクが高い | 個人属性に頼れない=物件価値が落ちたら即損失 |
| ②対象物件が大規模 | オフィス・大型マンション・商業施設など法人規模 |
| ③物件運営まで厳格管理 | ファンドレベルの報告・管理が必要 |
| ④監督指針上も「事業融資扱い」 | 個人向け商品ではなく、法人・SPC向け |
つまり、ノンリコースローンを使うには「物件の規模・管理体制・会計管理」まで法人レベルの体制が求められることとなります。個人投資家が区分や一般的な一棟アパートの取得で利用するのは、現状ほぼ不可能といってよいでしょう。
◯どんな人が将来的に検討できる?
初心者〜中級者のうちは、まずリコースローンで実績と資産を積み上げることが一般的です。その後、法人化やSPC設立、一定以上の賃貸事業規模に到達した段階で、ノンリコースローンが現実的な資金調達手段となります。
・投資規模を大きく拡大したい
・本業資産と事業資産を切り離したい
・リスク限定型の経営体制に移行したい
このような考えを持つ人には、将来の選択肢となり得るでしょう。
ノンリコースローンは不動産投資における「守りの強い融資」であり、大規模投資家が積極的に活用する仕組みです。一方、個人投資家にとっては「存在を知り、将来の選択肢として理解しておくべき金融手法」であり、現実的な第一歩はまずリコースローンが中心となります。
仕組みを理解し、「どのステージで活用できるのか」を知っておくことで、長期的な投資戦略に深みが生まれることでしょう。
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