不動産投資は「副業」か「投資」か?会社員が押さえておきたい境界線と注意点

ブログ 不動産投資初心者向け講座

こんにちは! 今回は不動産投資が副業としてみなされてしまうケースと、投資として判断されるケースについてお話しします。

近年、将来の備えとして不動産投資を始める会社員が増えています。しかし、就業規則で「副業禁止」とされている場合、不動産投資が副業にあたるのか、それとも資産運用とみなされるのかはとても気になるところですよね。

結論からいえば、多くの企業は不動産投資を「資産運用」として扱っています。ただし、規模や運用の仕方によっては「事業」と判断され、副業禁止規定に触れる可能性もあるため注意が必要です。

◯なぜ不動産投資は資産運用とみなされやすいのか

株式投資や投資信託と同様、不動産投資は「資産を所有し、それが生み出す収益を受け取る」という性質を持ちます。所有するだけで家賃収入が発生し、オーナー自身が日常的に労働力を提供するものではないため、会社員の副業とは区別されやすい傾向があります。特に管理会社へ委託して運営している場合、オーナーが日常的に業務へ関与する場面は限定的で、本業への支障も少ないと見なされます。

また、相続などにより結果的に賃貸用物件を所有したケースも多く、これらは生活上自然に発生した資産管理として扱われ、企業側も副業と考えにくいのが一般的です。

◯境目となる「事業的規模」とは

不動産投資が資産運用の域を超え、「事業=副業」と見なされるかどうかを判定する基準の一つが、税務上の「事業的規模」です。国税庁の所得税基本通達には、不動産所得を事業として認める明確な目安が示されており、一般的には「5棟10室基準」と呼ばれています。

アパート・マンションなどの貸付:独立した室数が おおむね10室以上

戸建てなどの独立家屋の貸付:棟数が おおむね5棟以上

これを超えると税務上「事業的規模」と判断され、青色申告特別控除(最大65万円)など有利な控除を受けられる反面、会社側から「本格的な商業活動=副業」と判断される可能性が高まります。事業的規模まで拡大する場合には、事前に就業規則との整合性を確認しておくことが重要です。

◯規模を超えなくても「副業」とみなされるケース

5棟10室の基準はあくまでも目安です。次のような場合、規模が小さくても副業とみなされる可能性があります。

(1)自主管理で業務量が多い場合
入居者対応・修繕調整・クレーム処理を全て個人で行い、本業の勤務時間中にも対応が必要となる状況が続くと、「就業時間外の収益活動」ではなく「就業時間に支障を及ぼす活動」と判断されます。管理会社への委託は、本業への影響を避けるうえで効果的です。

(2) 法人を設立している場合
法人化すると、形式として「別会社を経営している」と理解される場合があり、副業禁止規定に抵触する可能性が高まります。特に会社が「兼業(他社役員・代表者)禁止」を明記している場合は要注意です。

◯会社に知られないための運用・税務面での注意点

不動産投資を安全に続けるためには、制度的な理解だけでなく、運用面での細かい配慮も重要です。

① 就業規則の確認
「副業禁止」と書かれていても、不動産投資に関してどのように定義しているかは企業ごとに異なります。不安な場合は人事部門等に確認するのが安全です。

② 普通徴収の選択
確定申告時に住民税の徴収方法を「普通徴収」にしておくことで、不動産所得分の税負担が会社へ通知されなくなります。ただし自治体によっては普通徴収不可の場合もあります。

③ 規模拡大は段階的に
いきなり複数棟所有するのではなく、区分マンションなど小規模から始めるほうがリスクは小さく、会社の理解も得やすくなります。

④ 赤字でも確定申告
減価償却などで赤字となる初年度でも申告を行うことで、損益通算による節税効果を得られます。

不動産投資は、基本的には「資産運用」として認められるケースが多く、会社員でも安心して始めることが可能です。しかし、規模が大きくなると「事業」と判断され、副業禁止規定に触れる可能性が生じます。就業規則の確認、住民税の扱い、規模の拡大ペースなどを適切に管理し、本業への影響を避ける運用が求められます。副業と投資の境界線は、「どれだけ労力・規模を伴っているか」によって判断されるため、計画的な運用が重要です。

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