こんにちは! 今回は「契約不適合責任」についてお話ししていきます。
不動産の売買は、人生で最も高額な取引のひとつです。買主・売主ともに大きな金銭が動くからこそ、契約後のトラブルは避けたいもの。そこで重要となるのが「契約不適合責任」という考え方です。今回は、特に売主にとって関係の深い「契約不適合責任」についてと、その免責について、基本からリスク対策まで簡単にお伝えしていきますね。
⚪︎まず契約不適合責任とは?
2020年の民法改正により、「瑕疵担保責任」に代わって導入されたのが「契約不適合責任」です。これは、売買された物件(土地や建物など)が契約内容と異なる場合に、売主が買主に対して責任を負う制度です。
例えば、「雨漏りなし」と契約された家に引渡し後雨漏りが発覚した場合や、「100㎡の土地」が実際には90㎡しかなかった場合などが該当します。
買主は以下のような請求が可能です。
・修補や代替品の引渡し(追完請求)
・代金の一部減額(代金減額請求)
・損害賠償請求
・契約解除
ただし、これらの請求は「不適合を知ってから1年以内」に行う必要があります。
⚪︎契約不適合責任は免責できる?
もしかしたら収益物件をお探しの中でこちらの言葉を見聞きした方もいらっしゃるかもしれません。
この責任は、契約で特約を設けることにより、売主が免れることも可能です。これを「契約不適合責任の免責特約」と言います。
特に個人の売主にとっては、物件引渡し後に思わぬ修繕費や賠償責任が発生することを避けるため、免責特約を設けるケースが増えています。
⚪︎免責特約には限界がある
…とはいえ、免責が常に認められるわけではありません。
以下のケースでは免責が無効になることがあります!
・売主が不適合を知っていながら買主に伝えなかった場合
・売主の故意または重大な過失による不適合
・売主が宅建業者で、宅建業法により特約が無効とされる場合
特に宅建業者が売主となる場合、買主に不利な免責特約は法律上ほとんど認められません。
⚪︎売主が注意すべきポイント
売却後のトラブルを避けるため、売主は以下の対策を講じることが重要です。
1. 契約書で免責範囲を明確にする
「一切責任を負わない」といった曖昧な記載ではなく、「設備については免責するが、構造上の欠陥は除く」など、具体的かつ明確な記載が望まれます。
2. 物件状況を正直に伝える
告知書や状況報告書を活用し、把握している不具合は全て書面で説明しましょう。「現状有姿(ありのままの状態)」での取引でも、口頭だけで済ませるのはおすすめできません。
3. インスペクションを実施する
建物状況調査(ホームインスペクション)を行い、その結果を買主に開示することで、客観的な物件情報を提供できます。費用はかかりますが、結果としてトラブル防止につながるため、特に中古物件では有効な手段です。
⚪︎買主が気をつけるべきこと
一方、買主も「免責特約」があるからといって安心してはいけません。以下の点に留意しましょう。
1. 契約内容をよく確認する
免責される内容は何か、不適合があってもどこまで責任を問えるのかなど、契約書を細かく確認することが大切です。
2. 状況報告書を確認する
告知書や物件状況報告書に目を通し、疑問点は事前に質問しましょう。売主が記載していない情報があれば、見落としの可能性もあるため注意が必要です。
3. 必要に応じてインスペクションを依頼する
特に築年数が古い物件や、免責特約が広範囲に及ぶ場合には、買主側から専門家に調査を依頼することを検討しましょう。
契約不適合責任とその免責については、不動産取引の安全性を左右する重要な要素になりますので、特に注意しておくべき部分です。
売主は、正確な情報開示と適切な特約の設定でリスクを軽減。
買主は、契約内容の確認と物件調査の徹底で不利益を防止。
不明点や判断に迷う点があれば、遠慮なく不動産会社や法律の専門家に相談することが、安心・安全な取引への第一歩です。もちろん弊社にもお気軽にご相談ください!
収益不動産売買のご検討、管理・経営でお悩みごとがありましたら、ぜひ弊社までお問い合わせください!(^_−)−☆