こんにちは! 今回は「心理的瑕疵(しんりてきかし)」についてお話していきます。
不動産を売買・賃貸する際、「心理的瑕疵(しんりてきかし)」という言葉を見聞きしたことがある方も多いでしょう。これは物件そのものに物理的な欠陥があるわけではなく、「住むことに対して心理的な抵抗を感じさせる要素」がある物件のことを指します。
心理的瑕疵は見た目では判断できないため、トラブルの原因となりやすく、売主・買主双方にとって重要な部分になります。それでは見ていきましょう。
⚪︎心理的瑕疵とは何か?
心理的瑕疵とは、その物件や周辺で起きた出来事が原因で、住む人に不快感や不安感を与える可能性がある状態をいいます。主に次のようなケースが挙げられます。
・不自然な死があった物件
自殺・他殺・孤独死など、人の死が関係する物件は、代表的な心理的瑕疵に該当します。一般的によく知られている「事故物件」といえば、これらの因子を指すことが多いのではないでしょうか。
・火災事故
建物の一部や全部が焼けた経歴がある場合、その事実自体が心理的な負担になることがあります。
・犯罪や事故の現場となった物件
殺人事件や重大な事故が発生した場所である場合も、心理的抵抗感を持たれやすいです。
・反社会的勢力との関わり
過去に暴力団関係者が住んでいた、または近隣に拠点があった場合なども心理的瑕疵となる場合があります。
これらはあくまで一例であり、「どこまでが心理的瑕疵にあたるか」は、買主や借主の感じ方によって異なるため、非常に主観的な側面を持っています。
⚪︎売主には「告知義務」がある
不動産の売買や賃貸契約において、売主や貸主は重要事項について買主・借主に事前に伝える「告知義務」があります。これは宅地建物取引業法や民法で定められており、心理的瑕疵についても該当する場合はしっかりと説明しなければなりません。
特に、「契約に影響を及ぼす可能性のある事実」であれば、たとえ目に見えなくても告知する責任があります。これを怠ると、契約解除や損害賠償を請求される可能性があります。
⚪︎告知が必要な期間や範囲
心理的瑕疵について、どの程度の過去まで遡って説明すべきかについて明確な基準はありませんが、一般的には「事件や事故があってから3年以内」であれば告知が必要とされるケースが多いとされています。
ただし、事件の内容や地域の風評などによっては、3年以上経っていても告知が求められることがあります。とくに自殺や他殺といった忌まわしい出来事に関しては、その影響が長く残るため、売主買主問わず慎重な対応が求められます。
▽売主が気をつけるべきポイント
心理的瑕疵物件を売却する際、売主には以下の点に注意が必要です。
①正確な情報開示
トラブルを防ぐためには、物件の過去について正直に伝えることが不可欠です。隠して売却してしまうと、契約不適合責任を問われることになります。
②専門家への相談
不動産会社や法律の専門家に相談することで、告知の範囲や方法について適切な判断ができます。
③価格の見直し
心理的瑕疵のある物件は、通常よりも安く取引される傾向があります。市場価格を踏まえたうえで、現実的な価格設定を検討することが大切です。
④買主への丁寧な説明
買主が納得できるよう、丁寧に説明し、不安を軽減できるよう努めましょう。
▽買主が注意すべきポイント
心理的瑕疵物件の購入を検討する場合、以下の点に留意しましょう。
①十分な情報収集
不動産会社の説明だけでなく、自分でもインターネット検索や近隣住民への聞き取りを行うことで、情報の信頼性を高めることができます。
②自分が納得できるかどうか
価格が安いからといって飛びつくのではなく、その内容を自分が心理的に受け入れられるかどうか、冷静に判断することが重要です。
③価格交渉の余地を探る
心理的瑕疵があることを理由に、値引き交渉が可能なケースも少なくありません。
④契約書への明記
告知内容は書面に記載してもらい、後々のトラブルを防ぐようにしましょう。
⑤将来的な売却も想定しておく
将来、自分がこの物件を手放す際にも、同様の告知義務が発生することを理解しておく必要があります。
心理的瑕疵に関しては、その内容が主観的であるがゆえにトラブルの原因となりやすい要素なので、特に注意しておきたい部分になってきます。しかしながらそういったネガティブな印象があったにしても、売主による正直な情報開示と、買主による冷静な判断・情報収集によって、安心して取引を進めることは十分可能です。
疑問や不安がある場合は自己判断をせず、専門家に相談することで、客観的により適切な対応ができるでしょう。心理的瑕疵について正しく理解し、納得のいく不動産取引を目指しましょう。
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