知っているようで知らない?不動産価格の「二つの顔」――実勢価格と公示価格をわかりやすく解説

ブログ 不動産投資初心者向け講座

こんにちは! 今回は「実勢価格」と「公示価格」についてお話ししていきます。

「この土地、いくらで売れるのかな?」
「近所の土地の相場ってどれくらい?」

不動産を売買するとき、誰もがまず気になるのが「値段」です。
ところが、一口に「価格」といっても、その算出方法や意味はさまざま。中でも特に重要なのが、実勢価格と公示価格という二つの指標です。ニュースやネットで耳にしたことはあっても、「違いを説明できる」という人は意外と少ないかもしれません。

1. 実勢価格とは?―市場で実際についた値段

実勢価格とは、簡単にいえば「実際に売買が成立した価格」です。
売主が希望する金額と、買主が支払いたい金額が交渉で擦り合わされ、合意に至ったときの金額を指します。

例えば、売主が「5,000万円で売りたい」と広告を出しても、買主との交渉で4,500万円にまとまったなら、その4,500万円が実勢価格です。

この価格は次のような要因で大きく変動します。

市場の需給:人気エリアや人口増加地域は高くなり、逆に売り物件が多い地域は下がる傾向。

土地や建物の条件:形や広さ、接道状況、日当たり、周辺施設の有無など。

社会情勢:景気や金利、災害リスクなども影響します。

つまり実勢価格は、その時その場所の「生きた相場」。ただし取引ごとに異なるため、公式に一元化されたデータはなく、過去の事例から推測するしかありません。

2. 公示価格とは?―国が発表する「基準の値段」

一方、公示価格はまったく性質が異なります。
これは「国が専門家の評価をもとに決めた、土地価格の目安」です。

毎年1月1日時点で、全国約26,000地点の「標準地」を対象に、不動産鑑定士が算定します。特殊な事情を排除した、あくまで「正常な市場で成立すると想定される価格」です。

さらに似た指標として、各都道府県が発表する基準地価があります。こちらは毎年7月1日時点の価格で、公示価格を補完する役割があります。これにより地価の年2回の動きを把握できるのです。

公示価格や基準地価は、以下のような場面で利用されます。

・土地取引の目安

・公共事業用地の取得価格算定

・相続税や固定資産税の評価基準

誰でもインターネットで調べられる、信頼性の高いデータです。

3. 実勢価格と公示価格の違い

両者の大きな違いをまとめると、次の表の通りです。

項目実勢価格公示価格
決定主体売主と買主(市場)国土交通省・都道府県(公的機関)
基準日取引成立日1月1日(公示地価)、7月1日(基準地価)
価格変動個別事情で変動特殊事情を排除した標準的価格
主な用途実際の売買指標・基準、税務・公共事業

一般的に、実勢価格は公示価格より高めです。公示価格は「落ち着いた状況」での価格を前提にしているため、人気エリアや急騰地域では実勢価格が1.1〜1.2倍、場合によってはそれ以上になることもあります。

4. 賢く活用するには

不動産売買を検討しているなら、まず公示価格でおおまかな基準をつかみ、そこに土地の個別条件を加えて実勢価格を推測するのが有効です。
例えば「近くの公示価格が1㎡あたり30万円」で、駅近・整形地・南向きなら、実勢価格はそれより高くなる可能性があります。

また、売却を考えるなら近隣の過去取引事例を調べ、不動産会社に査定してもらいましょう。複数社に依頼することで、より精度の高い相場観が得られます。

⚪︎まとめ⚪︎

実勢価格=市場で実際に成立した価格

公示価格=国が発表する基準価格

実勢価格は個別条件や需給で動き、公示価格は全国共通の物差し

両方を知ることで、より正確な不動産判断が可能に

不動産価格は一つではなく、複数の「顔」を持っています。
それぞれの性質を理解し、目的に応じて使い分けましょう!

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