こんにちは! 今回は空室率についてお話ししていきます。
アパート投資を検討している方の中には、「満室経営こそ正解」と考える方も少なくありません。しかし、長年不動産運営を行っているオーナーの多くは、「空室ゼロ」に固執していません。むしろ、空室は必ず発生する前提として計画を立て、その範囲を「許容できる空室率」としてコントロールしています。
重要なのは、空室を恐れることではなく、「どこまで空いても赤字にならないライン」を知り、その範囲内に収め続けることです。
◯ 「理想の満室経営」との付き合い方
退去は、どんな物件でも一定の確率で発生します。入居者の転勤、結婚、引越し、ライフスタイルの変化など、原因はさまざまです。特に、退去~募集~リフォーム完了までには平均1.5~2ヶ月ほどかかります。そのため、「空室はまったくない状態」の維持は、実は“例外的な瞬間”に過ぎません。
ここで大切なのは、「できない理想を追うこと」ではなく、「実現可能な範囲を設定すること」です。
◯許容できる空室率の目安とは?
許容空室率の考え方には、2つの視点があります。
| 視点 | 内容 |
| 市場の現実 | エリア平均の空室率が参考値 |
| 事業面 | 自分の物件が赤字にならないライン |
まず、投資するエリアの平均空室率を把握しましょう。
都市部では5%前後、地方では10%以上となることも珍しくありません。ここに物件の築年数や立地を加味し、現実的な基準を置きます。
次に、「損益分岐点空室率(ブレイクイーブン空室率)」です。これは、家賃収入がローンや管理費などの支出を下回らない限界ラインのことです。ここを超えると赤字になりますので、許容空室率は必ずこのラインより低く設定します。
初心者の方は、以下のイメージで考えると分かりやすいです。
| 物件タイプ | 目安 |
| 都市部・築浅 | 5%未満 |
| 郊外・築古 | 10%未満 |
◯「期間」で考える空室リスク
空室率は「何戸空いているか」だけでなく、「どのくらいの期間空いているか」も重要です。
例えば10戸の物件で、年に2戸が退去し、それぞれ2ヶ月空室だった場合、年間の空室率は次のようになります。
2戸 × 2ヶ月 = 4ヶ月分の空室
10戸 × 12ヶ月 = 120ヶ月分の満室想定
4 ÷ 120 ≈ 3.3%
このように、退去件数 × 空室期間で年間空室率を計算する習慣を持つと、より現実的な経営判断ができるようになります。
◯初心者でも取り組める「空室を防ぐ」実務的な対策
許容空室率を設定したら、その範囲に収めるための行動が必要です。特に初心者の方は、無理のない範囲から始めましょう。
① 家賃設定の見直し
周辺相場よりも割高だと空室期間が長くなります。迷った場合は相場の「少し下」に合わせると決まりやすくなります。
② 設備・見た目の改善
高額なリノベーションではなく、小さな改善でも効果があります。
例)ウォシュレット交換/アクセントクロス/LED照明/清潔感アップ
③ 募集スピードを意識する
退去の予告が出た段階で写真撮影し、早めに募集を開始すれば空室期間を短縮できます。これは管理会社との連携がとても重要です。
④ 退去率を下げる
「今いる入居者に長く住んでもらう」ことも有効です。共用部の清掃、問い合わせ対応の丁寧さだけでも印象は大きく変わります。
◯空室率は「コスト」=先に織り込んでおく
空室は、投資において「起きてから慌てるもの」ではありません。最初から計画に組み込み、「この程度までなら想定内」という考え方を持つことが、余裕ある経営につながります。
逆に、「空室ゼロ」を目指しすぎると、過剰投資や不安の連鎖に陥ることもあります。
空室と上手に付き合うポイントは次の3つです。
・市場平均と自身の損益分岐点から「許容空室率」を決める
・空室は戸数ではなく期間も考える
・対策は「募集」「家賃」「退去防止」の3本柱で
初心者の方ほど、「空室=失敗」と考えがちです。しかし、実際の不動産経営では、空室は“前提条件”です。大切なのは、リスクを数字で把握し、事業として冷静にコントロールする姿勢です。
この考え方を身につけることで、アパート投資はより着実で安心感のあるものになっていきます。
収益不動産売買のご検討、管理・経営でお悩みごとがありましたら、ぜひ弊社までお問い合わせください!(^_−)−☆
