フルローン投資の落とし穴と賢い向き合い方

ブログ 不動産投資初心者向け講座

こんにちは! 今回はフルローンを正しく使いこなすためには何が大切なのか、についてお話ししていきます。

「自己資金ゼロで始められる」――そんな言葉を聞くと、フルローンを魅力的に感じる方も多いでしょう。
しかし、不動産投資におけるフルローンには、見えにくいリスクや将来的な負担が潜んでいます。ここでは、フルローンの基本から注意点、そして安全に投資を行うためのポイントを解説します。

◯フルローンとは?

フルローンとは、物件価格のほぼ全額を金融機関から借り入れることを指します。通常の不動産投資では物件価格の20〜30%程度の頭金が必要ですが、フルローンではその準備が不要です。
一見、「手元資金がなくても始められる夢の方法」に思えますが、実際はそのぶん返済負担やリスクが大きくなります。

◯フルローンの主なリスク

・キャッシュフローが悪化しやすい

借入額が増えると当然、毎月の返済額も高くなります。家賃収入からローン返済・管理費・税金などを引いた「キャッシュフロー(手残り)」がほとんど残らず、空室が出るだけで赤字になるケースも少なくありません。
自己資金を入れていれば余裕を持てるところが、フルローンでは「持ち出し」が発生しやすく、生活資金を圧迫する恐れがあります。

・空室、家賃下落に弱い

不動産経営では、空室リスクや家賃下落は避けて通れません。
キャッシュフローに余裕がないフルローン物件では、1部屋でも空室が出ると返済が苦しくなります。築年数が経って家賃を下げざるを得ない場合も、赤字転落の危険が高まります。

・金利上昇の影響が大きい

変動金利で借りている場合、金利が上がると毎月の返済額も増えます。
例えば金利が1%上昇するだけでも、数千万円の借入があると年間で数十万円の返済負担増になることも。借入額が大きいフルローンでは、この影響をまともに受けてしまいます。

・見落とされがちな「隠れコスト」

物件の購入には、登記費用や仲介手数料、不動産取得税、保険料などの諸費用(物件価格の5〜10%程度)がかかります。
フルローンではこれらを借入に含める「オーバーローン」となる場合が多く、結果的に返済総額がさらに増えます。

また、キャッシュフローが厳しいと修繕積立が難しくなります。屋根や外壁などの大規模修繕が必要になっても資金がなく、やむを得ず追加借入をしたり、貯金を取り崩すケースも珍しくありません。

・売却(出口)時にも潜むリスク

不動産の価値は年々下がる傾向があります。
例えば、5,000万円で購入した物件をフルローンで買い、5年後に4,500万円でしか売れなかった場合、ローン残債が4,800万円なら300万円を自己資金で補填しなければ完済できません。
頭金を入れていれば手元に資金が残る場合でも、フルローンでは常に「残債割れ」のリスクを抱えます。

◯賢く投資するための3つのポイント

①頭金を2〜3割程度は用意する
借入額を抑えることで、返済負担やリスクを大幅に軽減できます。

②返済比率を低く抑える
家賃収入に対して返済が重すぎると、ちょっとした変化で資金繰りが崩れます。余裕のある計画を立てましょう。

③半年〜1年分の運転資金・修繕費を確保する
不測の事態に備え、現金のバッファ(余裕資金)を持っておくことが大切です。

いかがでしたでしょうか?

フルローンは、確かに「すぐに始められる」点で魅力的です。しかし、キャッシュフローの悪化や金利上昇、売却時の残債リスクなど、初心者ほど対処が難しい課題を抱えやすい投資手法でもありますので、気軽に選択できるかと言われるとそうではないことがわかります。

不動産投資は「長期的に安定した資産形成」を目指すものです。焦らず資金を貯め、健全な借入バランスとリスク耐性を持ってから始めることが、成功への近道といえるでしょう。

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