こんにちは! 今回は不動産投資におけるインボイス制度についてお伝えしていきます。
2023年10月に導入されたインボイス制度(適格請求書等保存方式)は、事業者にとって仕入税額控除の可否を左右する重要な制度です。不動産投資の世界でも、特に事業用物件を扱うオーナーにとって、その影響は無視できません。
本記事では、不動産投資におけるインボイス制度の影響を、物件の種類やオーナーの立場別に整理し、投資家が取るべき具体的な対応策をわかりやすく解説します。
1. 不動産投資におけるインボイスの影響は「物件種別」で変わる
インボイス制度の影響は、不動産投資において消費税がかかる取引かどうかで大きく変わります。
●居住用物件は非課税で「影響なし」
アパートやマンションなどの居住用賃貸は非課税取引のため、
・消費税の発生なし
・インボイスの必要なし
となり、不動産投資としてはほぼ影響を受けません。居住用物件中心で運用している投資家は、制度導入前と変わらずに賃貸経営ができます。
●事業用物件は課税取引で「影響大」
オフィスビル、店舗、駐車場、短期貸しなどは課税対象のため、不動産投資としてインボイスの対応が必須となります。
特にテナント(借主)が課税事業者の場合、家賃に含まれる消費税を仕入税額控除するため、オーナーにインボイスの発行を求めてきます。
2. 不動産投資家の中でも特に影響が大きいのは「免税事業者」
年間の課税売上高1,000万円以下の個人投資家など、免税事業者に該当する不動産投資家は制度の影響を強く受けます。
●インボイスを発行できない
免税事業者はインボイスの発行ができず、テナントは家賃の消費税分を控除できなくなります。その結果、
・テナントの負担増
・物件の競争力低下
という問題が発生します。
●テナント離れのリスクが増える
負担を避けるために、テナントが以下の行動を取るケースもあります。
・家賃の減額交渉
・インボイス対応物件への移転
・募集時の候補から外す
特に商業エリアでは、インボイス非対応の不動産投資物件が選ばれにくくなる傾向が見られています。
3. 不動産投資家(免税事業者)が選べる3つの対策
① 課税事業者として登録し、インボイスを発行する
不動産投資の安定運営を重視する場合、もっとも確実な対策です。
*メリット
・テナントの仕入税額控除が可能
・契約維持、新規募集で有利
*デメリット
・消費税の申告、納税で手取りが減る
・会計作業が増える
長期的に複数の事業用物件を運用する投資家に向いています。
② 免税事業者のまま経過措置を活用する
現在、免税事業者の家賃でも一部控除できる経過措置があります。
2023〜2026年:80%控除
2026〜2029年:50%控除
テナント負担は完全には消えないものの、当面はダメージを抑えながら不動産投資を継続できます。ただし、2029年以降は負担が100%となるため、将来的な再交渉リスクは残ります。
③ 法人化して課税事業者として運用する
不動産投資の規模拡大を視野に入れているなら、法人化も選択肢です。法人は原則課税事業者になるため、インボイス対応がしやすくなります。
4. 既に課税事業者の不動産投資家も確認すべき点
●適格請求書の形式を整える必要
登録番号、税率区分、税額などの記載が必須です。
●物件売却・購入への影響
売主がインボイス非対応だと買主が控除を受けられず、取引条件に影響するため、不動産投資の売買判断にも関係してきます。
インボイス制度は、不動産投資の種類によって影響度が大きく変わります。
・居住用中心の投資家:影響ほぼなし
・事業用物件を扱う投資家:対応が必須、競争力にも直結
特に免税事業者の不動産投資家は、課税事業者になるか、経過措置でつなぐかの選択が重要です。
保有物件の状況・テナントの属性・将来の投資方針を踏まえ、最適な判断を行うことが、これからの不動産投資では欠かせないポイントとなります。
不動産投資のご検討、管理・経営でお悩みごとがありましたら、ぜひ弊社までお問い合わせください!(^_−)−☆
