既存不適格建築物とは?知っておきたい基礎知識と対処法

ブログ 不動産投資初心者向け講座

こんにちは!

今回は不動産の購入を検討している方や建物の管理に関わる方に向けて、「既存不適格建築物」についてお話しします。

街を歩いていると「この建物、今の法律では建てられないのでは?」と思うことはありませんか?それはもしかすると「既存不適格建築物」かもしれません。ではどういった建物が当てはまるのか、注意すべきところは何なのか、簡単にご紹介していきますね。

⚪︎既存不適格建築物とは?

既存不適格建築物とは、建築された当時は法に適合していたが、その後の法律改正により現在の基準に合わなくなった建物のことです。

例えば、建築時には問題なかった容積率や建ぺい率が、用途地域の変更などによって厳しくなり、今では基準をオーバーしてしまっているケースなどがあります。

混同しやすいのですが、「違法建築物」は、建てた時点から法律違反の建物で、是正命令の対象になる可能性があります。一方、既存不適格は当時は合法であったという点が大きな違いです。

主な例としまして…

・容積率・建ぺい率の基準変更

・耐震基準の見直し(特に1981年(昭和56年)5月31日以前の建物)

・採光・換気など住宅の環境基準の強化

・日影規制の導入

などが該当します。

法律改正は私たちの安全や快適な暮らしを守るために行われるため、その過程で既存不適格となる建物が出てくるのは避けられない現象といえます。

⚪︎どんな問題があるの?

既存不適格建築物自体は違法ではありませんが、いくつか注意が必要な点があります。

①増改築・建て替えが難しい
原則として、今の法律に合うようにしないと大規模な改修や建て替えはできません。例えば、現在の基準を超えている部分は減築する必要があるかもしれません。

②売却時に不利になる可能性
不動産売買では、既存不適格であることを重要事項説明書に記載する必要があります。これにより買い手が慎重になることが多く、価格が下がったり、融資が通りにくくなることもあります。

③耐震性や防災性能に不安がある場合も
特に旧耐震基準で建てられた建物は、現在の基準を満たしていないことが多く、地震への耐性に不安が残ります。また、消防法などの改正により防災設備が不十分なケースもあります。

④改修費用が高額になる可能性
基準に合わせて改修するには、大掛かりな工事が必要になることも多く、通常よりも費用がかかることがあります。

⚪︎対応策と注意点

では、既存不適格建築物とどう向き合えばよいのでしょうか。ポイントをまとめました。

・まずは専門家に相談
建築士や不動産の専門家に相談し、どの部分が不適合なのか、将来的にどんな制限があるのかを確認しましょう。

・改修・建て替えには現行法への適合が必要
耐震補強や容積率の調整など、必要な対策をとることで、建て替えや改修が可能になることがあります。

・例外規定の活用
建築基準法には、一部例外措置が設けられている場合があります。これには行政の許可が必要なケースも多く、専門家と連携して慎重に対応する必要があります。

・売却時は正確な情報開示を
既存不適格であることを隠して売却するのはトラブルの元です。買主にきちんと説明し、納得してもらうことが重要です。

・購入時は将来のリスクを確認
購入前に、不動産会社や建築士に相談し、建物の現状と将来的な対応の可否、費用見込みを把握しておくことが大切です。

既存不適格建築物は違法ではありませんが、建物の扱いには注意が必要です。将来的な修繕や売却を考える際に制限があるため、自分の物件が該当するかを知り、早めに対策を考えておくと安心です。「この建物、大丈夫かな?」と少しでも気になったら、その分野の専門家に安全性も含めて相談しておくといいでしょう。

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